組織設計事務所における中途採用は、採用環境の変化に対応して、採用プロセスの見直しが必要になってきています。この記事では、建築業界全体の採用環境の変化についてや、優秀な人材を獲得するために面接や応募書類などで注意するべきポイントをまとめています。
組織設計事務所を含む建築業界の中途採用では、発注側企業が人気を集めてきていたり、優秀な人材は複数の会社を併願することが多く、条件や選考スピードで比べられるようになっています。採用環境が具体的にどのように変化しているかや、選考や待遇で注意するべきポイントについて、建築業界における採用のプロの立場で解説しています。
組織設計事務所における採用環境は変化しつつある
現在、大手組織設計事務所の採用環境は変化しつつあります。これまで自社採用で上手く行っていた設計事務所も、優秀な人材確保に苦労している状況にあります。
まず、働き手は人材紹介会社、求人サイト、リファラル、直接応募などから適した応募方法を選択できるようになっています。また、応募できる職種も増えており、働き手は、発注者、PM/CM会社、ゼネコン設計部などを建築設計の力を活かせる転職先候補として考えています。
選択肢が増えたことで、大手組織設計事務所も待遇や採用プロセスなどを競合と比較されるようになっています。そのため、これまでと同じ採用活動では優秀な人材の獲得が難しくなっているのが現状です。
優秀な候補者に嫌われる組織設計事務所の採用プロセスとは
優秀な候補者を惹きつけるには、どのような採用プロセスが嫌われるのかを理解し改善していく必要があります。
例えば、優秀な候補者は他社との併願をしていることが多く、スピーディーな選考プロセスを重視しています。そのため、組織設計事務所にありがちな手書きの応募書類や長い選考期間などは、候補者が他社に流れていく原因となりえます。
また、候補者は自分により適する会社を比較検討したいと考えています。会社の特徴や魅力を説明しない、待遇や働き方について十分説明しないといった一方的な対応も避けたほうが良いと言えます。
採用環境の変化や候補者の置かれている状況を考慮していくことが、採用プロセスの見直しにつながります。
中途採用で注意すべき6つのポイント
中途採用のターゲットとなる設計出身の人材から具体的にどのような採用プロセスが敬遠されるのか、6つの代表的な例を挙げています。これらは業界上位の組織設計事務所にもありがちなものとなっています。
手書きの履歴書や独自書式のエントリーシート
組織設計事務所では独自書式のエントリーシートを求めることが多いですが、手間のかかる応募書類を要求するのは避けましょう。優秀な人材ほど多忙なため、他社と併願している候補者は選考スピードの早いゼネコン設計部やPM/CM会社などに流れてしまいます。
採用条件が契約社員で、正社員と待遇が異なる
優秀な人ほど、正社員と差がある契約社員待遇を敬遠します。また、以前よりも契約社員のイメージがネガティブになっていることにも留意した方がよいでしょう。
一級建築士の取得が必須
一級建築士の試験は10年前よりも格段に難しくなっており、一級建築士資格取得は必須にしないほうが現実的です。プロジェクトの実績やクライアントワークへの適性などを重視しましょう。
裁量労働制が適用されている
働き方改革の影響で、裁量労働制にはネガティブな印象を持つ人も少なくありません。仮に裁量労働制の適用が変更できないとしても、これまで以上に給与や働き方に係る制度については候補者に合意を得たほうが良いでしょう。
会社の説明をしない面接
大手の組織設計事務所の採用面接でありがちなのですが、中途採用者を選別することに熱心で、自分達の会社のカルチャーや競合他社に関する説明が不足しているケースが多く見られます。面接時に、候補者が魅力的に感じるような会社の特長や制度についても紹介するなど、他社は優秀な人材を惹きつける工夫をしています。
圧迫面接
ホワイトで有名な組織設計事務所であっても、役員クラスが圧迫面接をするケースがあります。そういった情報はネットに書き込まれ広まっていたり、私たちのような人材紹介会社に情報が集まってきます。また、最近は候補者も録音していることも多いので、注意が必要です。
ライバルを抑えて組織設計事務所が優秀な人材を獲得するには
組織設計事務所における中途採用は5~10年前と採用環境が変わってきており、働き手は組織設計事務所だけでなく、デベロッパー、PM/CM会社、ゼネコンなどを応募対象として比較しています。
そんな中、組織設計事務所の採用環境にはあまり変化がありません。設計の力が活かせる発注側企業と待遇や選考プロセスが比較されるようになったため、組織設計事務所が買い手市場だった以前に比べて働き手から敬遠されている現状があります。
組織設計事務所が中途採用で優秀な候補者を獲得するために知っておくべきポイントは以下の通りです。
- 近年ではPM/CM会社やゼネコンなど、比較的待遇の良い発注側の建築系企業に候補者からの人気が集まっており、中途採用市場では組織設計事務所の競合となっている
- 優秀な候補者は他社と併願することが多く、スピーディな選考プロセスを重視するため、手書きの応募書類や長い選考期間は他社に流れる要因となる
- 組織設計事務所の中途採用でありがちな、一級建築士資格が必須条件であったり、契約社員からのスタート、自社の説明をしない面接などは、会社とのマッチングを重視する近年の傾向の中では敬遠される要因となる
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