パラグラフライティングとは論理的な文章を書く方法の1つです。論理構成が明確なわかりやすい文章が書けるため、ビジネスでのメールや文書の作成に活用できるほか、検索流入の向上(SEO)にも効果が出やすくウェブサイトの記事コンテンツ制作などにも役立ちます。

この記事では、パラグラフライティングの概要やメリット、パラグラフの構成、執筆の際のポイント、具体的な校正の方法、実際のコンテンツ制作事例などを紹介しています。

パラグラフライティングとは?

パラグラフライティングとは論理的な文章を書く方法の1つで、結論から始めて、説明を続け、最後にまとめるという構成が特徴です。

パラグラフライティングでは、結論・説明・まとめまでを1つのまとまり(パラグラフ)として扱い、1つのパラグラフで伝える内容は1つにします。この決まりによって、論理展開が明確になり長い文章でも内容がわかりやすくなります。

以下は、パラグラフライティングに沿って作成した文章の例です。パラグラフは、後述するトピックセンテンスやサポーティングセンテンスといった役割の異なる文章で構成されています。

パラグラフライティングを活用して作成した文章の構成例

トピックセンテンス:結論や伝えたいこと
ウェブサーバーの移転とは、ウェブサーバー内のデータを他のサーバーに移転することです。

サポーティングセンテンス-1:具体例や説明でトピックセンテンスを補足する
多くの場合、ウェブサイトのリニューアルなどに伴い、レンタルサーバー会社を変更する際に発生する契約の切り替えやデータの移行などを指します。

サポーティングセンテンス-2:必要に応じてサポーティングセンテンスを重ねる
ウェブサーバーの移転には、実際の移転作業だけでなく、現在の契約状況の確認、スケジュールの作成、移転先レンタルサーバーの選定といった作業が必要になり、サーバーの移転後にもリダイレクト設定やサイトマップの送信といった作業が発生します。

コンクルーディングセンテンス:結論を言い換えるなどしてまとめる
ウェブサーバー移転にはさまざまな工程があり、専門知識が必要な場面も多いため、スムーズに進めるためには事前準備が特に重要となります。

パラグラフライティングでのパラグラフの構成イメージ。伝えたい内容や結論からはじめ、詳細や具体的な説明を続け、最後にまとめる構成が基本です

また、ウェブの記事やコンテンツではパラグラフごとに見出し(h2)や小見出し(h3)を設ける場合が多いです。

パラグラフライティングと一般的な文章作成方法やコラムなどの違い

パラグラフライティングを効果的に活用するには、パラグラフライティングが適する文章とそうでない文章の違いをおさえることが重要です。

パラグラフライティングは、ビジネス文書や企業による情報発信など事実を客観的・論理的に伝える必要のある文章に広く活用できます。一方、学校で習う一般的な書き方や、時系列順に書く日記のような文章、コラムなどのように自分の想いを自由に表現する主観的な文章を書く場合には不向きです。

パラグラフライティングは、以下の表のようにビジネスでのメールや報告書などのビジネス文書はもちろん、客観的な情報発信が重要となる企業サイトでのマーケティングにも活用でき、記事コンテンツやサービス紹介ページなどの制作に役立ちます。

パラグラフライティングが役立つ文章の例主観的な文章の例
ビジネス文書
ビジネスチャットやメールでの報告・連絡
企業サイトの記事コンテンツや
サービス紹介ページ
論文・レポート
エッセイ
コラム
読書感想文
体験談
日記

パラグラフライティング活用の3つのメリット

パラグラフライティング活用のメリットとして、論理的でわかりやすい文章が書けることや検索流入の向上(SEO)への効果が出やすいことなどが挙げられます。こちらでは、パラグラフライティングを活用することで得られる代表的な効果・メリットを紹介します。

パラグラフライティングで書かれたウェブサイトのお役立ち記事のイメージ
パラグラフライティングで書かれたウェブサイトのお役立ち記事のイメージ。パラグラフごとの内容が重複しないことで、長い文章であってもわかりやすく論理的な文章が作成できます

メリット1:論理構成が明確なわかりやすい文章が書ける

パラグラフライティングは、文章を結論・説明・まとめの順に構成することで、伝えたい内容や論理展開が明快になります。

具体的には、パラグラフが伝えたい内容や結論からはじまることで、読み手は最後まで読まなくても概要が把握でき、その後に説明が続くことでより詳しく内容をつかむことができます。また、最後にまとめがあることで、内容や結論がよりわかりやすくなります。

また、パラグラフライティングには、1つのパラグラフで伝える内容は1つにするというルールがあり、伝えたい内容が複数ある場合はパラグラフを分けます。このルールによって、伝えたい内容や情報の重複がなくなるため、長い文章の場合でも論理構成が明確になります。

メリット2:論文等に活用できるが、ビジネス文書にも役立つ

パラグラフライティングは、報告書などのビジネス文書でも役立てられます。パラグラフライティングの結論から始まる論理構成は、結論から伝えることが好まれるビジネスでのコミュニケーションと親和性が高いためです。

具体的には、報告書などのビジネス文書のほか、メール・チャットでの連絡などを論理的で伝わりやすい文章で作成できます。また、書き方の型やルールが決まっていることで、情報の優先順位やヒエラルキーが整理しやすくなり、執筆のスピードや効率が向上する効果もあります。

このように、パラグラフライティングはビジネスで作成する文書・ドキュメントと相性がよく、さまざまなシーンで活用できます。

メリット3:SEO的にも成果がでやすく、ウェブの記事コンテンツの制作に向いている

パラグラフライティングで書いたコンテンツはSEOの効果が出やすいため、ウェブサイトのお役立ち情報などの記事やコンテンツの制作にも活用できます。

Googleなどの検索エンジンは、ユーザーの疑問や困りごとに対して的確に回答しているページを高く評価し、検索順位などに反映しています。英文は結論や伝えたい内容から始まる傾向が高いため、日本語の記事でも文章の出だしがユーザーの検索意図に合致しているかが重視される傾向があるようです。

そのため、結論や伝えたい内容から始まるパラグラフライティングはSEOとの相性が良く、検索結果で上位に表示されるといった効果が出やすいことから、ウェブの記事コンテンツ制作にも役立ちます。

ウェブの記事などで検索エンジンが重視する文章の構成イメージ
ウェブの記事などで検索エンジンが重視する文章の構成イメージ。見出しの直後にユーザーが知りたい情報や結論があることでSEOへの効果が出やすくなります

パラグラフライティングの構成とは?各センテンスの役割を紹介

パラグラフライティングの文章のまとまり(パラグラフ)は3つの異なる役割の文章(センテンス)で構成されています。具体的には、トピックセンテンス、サポーティングセンテンス、コンクルーディングセンテンスの3つに分類されます。

以下の図のように、3つのセンテンスはそれぞれ結論・説明・まとめの役割を持っています。こちらではそれぞれのセンテンスについてより具体的に説明します。

パラグラフライティングでのパラグラフの構成イメージ
パラグラフの構成のイメージ。トピックセンテンス、サポーティングセンテンス、コンクルーディングセンテンスという異なる役割の文章によってパラグラフの論理構成が作られています

トピックセンテンス|伝えたい内容や結論を表現するセンテンス

トピックセンテンスとは、パラグラフで伝えたい内容や結論を表現するセンテンスです。具体的には、伝えたいことの概要や結論の要約になる場合が多く、基本的にはパラグラフの最初の文がトピックセンテンスになります。

パラグラフライティングは、トピックセンテンスで結論を伝え、後に続くサポーティングセンテンスで説明するという論理構造になっているため、トピックセンテンスは特に重要な役割を持っています。

トピックセンテンスの役割のイメージ
トピックセンテンスの役割のイメージ。パラグラフの始めに結論を伝えることで、効率的に内容を把握できるようになっています

また、それぞれのパラグラフの内容は重複しないため、各パラグラフのトピックセンテンスを確認するだけで概要や全体の流れを把握できます。

サポーティングセンテンス|伝えたい内容や結論について説明するセンテンス

サポーティングセンテンスとは、トピックセンテンスの内容についてより詳しく説明するセンテンスです。具体的には、詳細の説明や根拠を補足したり、例を挙げて論理を補強する場合が多いです。

トピックセンテンスは1つの文であることが多いですが、サポーティングセンテンスは複数の文になる場合が多いです。サポーティングセンテンスは以下の図のように、トピックセンテンスで伝えた結論を支える役割があり、より詳しい説明を展開して結論を肉付けするパートと言えます。

サポーティングセンテンスの役割のイメージ
サポーティングセンテンスの役割のイメージ。トピックセンテンスで伝えた結論をを支えるように詳しく説明し、論理を膨らませたり肉付けする役割があります

コンクルーディングセンテンス|伝えたい内容や結論をまとめるセンテンス

コンクルーディングセンテンスとは、パラグラフの内容をまとめるセンテンスです。具体的には、トピックセンテンスを言い換えたり、論理の流れを踏まえて結論をまとめた内容になる場合が多いです。

以下の図のように、最後にトピックセンテンスで伝えた結論をコンクルーディングセンテンスでまとめることで、より内容が伝わりやすくなるほか、結論を踏まえて次のパラグラフに続ける場合に、論理展開がスムーズになります。

コンクルーディングセンテンスの役割のイメージ
コンクルーディングセンテンスの役割のイメージ。トピックセンテンスを言い換えるなどしてパラグラフをまとめることで、伝えたいことをよりわかりやすく示す効果があります

また、コンクルーディングセンテンスは、トピックセンテンスと内容が近くなるため、短いパラグラフなどの場合は省略されることもあります。

パラグラフライティングで文章を作成する際の5つのポイント

パラグラフライティングを活用して文章を作成する際のポイントとして、トピックセンテンスの情報量を多くしすぎたり少なくしすぎない、コンクルーディングセンテンスを単なる繰り返しにしない、などが挙げられます。

こちらでは、具体例を交えながらパラグラフライティングで文章を作成する際に重要な5つのポイントを紹介します。

ポイント1:トピックセンテンスの情報量が多すぎたり少なすぎると説明が展開しづらくなる

トピックセンテンスの内容が詳細すぎたり情報量が少なすぎる場合、サポーティングセンテンスでの説明が展開しづらくなる場合があります。

トピックセンテンスの情報量が多すぎる場合、サポーティングセンテンスで伝えたい内容と重複したり、トピックセンテンスの内容に対して説明を膨らませにくくなるといったことが起こり、論理構成が崩れやすくなります。

また、トピックセンテンスの内容が簡素すぎる場合にも、サポーティングセンテンスに続けるための取っ掛かりが少なくなり、説明が続けられないことがあります。具体的には、以下の例のような情報量や抽象度でまとめると、わかりやすい論理展開ににつなげられます。

修正後のトピックセンテンス修正前のトピックセンテンス
什器は、業態や業界によってよく使われるものや範囲が異なり、設置する場所や用途ごとに名称が異なります。オフィス、物販店舗、飲食店舗といった業態によって使用する什器の種類や名称は異なり、「オフィスデスク」、「キャッシャーカウンター」、「バーカウンター」などのように、用途を指し示す名称を用います。
オフィスや店舗で使われる家具(什器)の種類や名称を説明しようとしていましたが、具体例が多く概要が掴みにくくなっていたため、トピックセンテンスをまとめ直した例です
修正後のトピックセンテンス修正前のトピックセンテンス
工事見積書とは見積書の一種で、建設工事を実施する際にかかる金額などが記載されている書類です。工事見積書とは、建設プロジェクトにかかる工事コストを把握するための書類です。
工事見積書の特徴や概要を説明をしようとしていましたが、情報が少なすぎてサポーティングセンテンスに続けにくくなっていたため、見積書全般における立ち位置などの情報を補足した例です

ポイント2:コンクルーディングセンテンスが単なる繰り返しにならないようにする

コンクルーディングセンテンスはパラグラフの結論をまとめるセンテンスですが、トピックセンテンスと内容が近いため、単なる繰り返しになってしまう場合があります。

特に短いパラグラフの場合、コンクルーディングセンテンスの表現がトピックセンテンスの繰り返しになってしまうと、違和感のある文章になりがちです。

そのため、以下の例のようにトピックセンテンスを言い換えたりサポーティングセンテンスなどでの流れを踏まえて情報を補足することで、単調な繰り返しを避けつつ伝えたい内容を表現する効果が高まります。

トピックセンテンスコンクルーディングセンテンス
ウェブサーバーの移転とは、ウェブサーバー内のデータを他のサーバーに移転することで、多くの場合、ウェブサイトのリニューアルなどに伴い、レンタルサーバー会社を変更する際に発生します。ウェブサーバー移転にはさまざまな工程があり、専門知識が必要な場面も多いため、スムーズに進めるためには事前準備が特に重要となります。
サーバー移転の概要を説明するパラグラフでの例。トピックセンテンスで概要を伝え、コンクルーディングセンテンスでは論理展開を踏まえた情報を補足しています
トピックセンテンスコンクルーディングセンテンス
企業がオフィスデザインに投資するメリットとして、会社のコンセプトや考え、メッセージなどを広く伝える効果が挙げられます。企業がオフィスデザインに配慮することで、実際に対面して働くことへの考え方やオフィスの安全性などを表現でき、企業としてのスタンスやメッセージを広く発信する効果が得られます。
オフィスデザインのメリットを伝えるパラグラフでの例。トピックセンテンスでのオフィスデザインのメリットが、コンクルーディングセンテンスでは言い換えられたり補足されています
トピックセンテンスコンクルーディングセンテンス
工事見積書とは見積書の一種で、建設工事を実施する際にかかる金額などが記載されている書類です。工事見積書は、個別の工事の内訳から全体の工事費の根拠を確認できるようにまとめられています。
工事見積書の概要を伝えるパラグラフでの例。トピックセンテンスでは工事見積書について、基本的な説明を行い、コンクルーディングセンテンスではその他の特性や役割ついて補足しています

ポイント3:パラグラフ内に図版がある場合、図版や説明文で伝える内容を先に決める

原稿を執筆する際に図版やその説明文であるキャプションは後工程に回されがちですが、文章と図版で伝える内容にズレが生じた場合、後から図版を修正するのはより大きな手間や工数がかかります。そのため、図版やキャプションで伝えたい内容をあらかじめ整理しておくと、効率的に執筆できます。

また、図版のキャプションは、サポーティングセンテンスとして論理を補強する役割を持つため、図版の位置や伝えたい内容を整理した段階でキャプションをまとめておくと、後工程での手戻りを防げるほか、執筆も効率的になります。

図版を組み合わせたパラグラフの例
図版を組み合わせたパラグラフの例。図版の説明文(キャプション)もサポーティングセンテンスの役割を持つことを踏まえて執筆することで、図版と一体になった論理展開が構成できます

ポイント4:実際に書く前に大まかな内容をまとめて流れを確認する

実際に文章を書く前に、パラグラフごとに大まかな内容や論理展開(アウトライン)をまとめておき、流れや内容を確認することで手戻りなどを防げます。

箇条書きや簡単なメモでアウトラインをまとめておくことで、論理の流れとともに情報の抜けがないかや、根拠や具体例が乏しくないかといった点をあらかじめ把握できます。

具体的には、以下のような情報量で各センテンスの内容、図版・キャプションで伝えたい内容などを確認しておくことで、実際の執筆がスムーズになります。

事見積書の概要ついて説明するパラグラフのアウトラインの例

[トピック]工事見積書の概要を書く(見積書の一種で建設工事の発注の際にゼネコンから受け取る)
[サポート]工事見積書について、記載内容の具体例を書く(工事全体の金額、個別の工事の明細)
[図版]工事見積書の図版。キャプションで具体的な項目を挙げる
[コンクルーディング]一見複雑だが、ルールを押えて読み解けばゼネコンとの交渉などに活用できる

パラグラフライティングのアウトラインの例。大まかな論理展開や図版の有無、キャプションの内容を決めておくと後工程がスムーズになります

ポイント5:論理構成が決まっていることで、執筆の分業や校正がしやすくなる

パラグラフライティングは、論理構成や文章の型が決まっているため、原稿作成の分業が可能なほか、校正もしやすくなります。

例えば、パラグラフごとに担当者を変えて執筆したり、トピックセンテンスとコンクルーディングセンテンスの内容を先に決めておき、サポーティングセンテンスで挙げる具体例などは後から追加するといった書き方もできます。

校正段階では、「見出しとトピックセンテンスにズレがある」「サポーティングセンテンスの具体例が適切でない」など、パラグラフの構成にそって確認できるため、校正やチェックの負担軽減につながります。

このように、パラグラフライティングの性質を活用することで、原稿執筆の分業や校正の負荷の低減といったメリットにつなげられます。

パラグラフライティングによる文章の校正事例

記事や原稿をパラグラフライティングに沿って校正した事例を紹介します。実際の原稿の校正前と校正後の比較から、具体的な修正のポイントをつかんでいただけます。

校正例1:複数あったトピックセンテンスを1つにし、難しすぎる言い回しなどを調整した事例

パラグラフに複数の伝えたい内容があるために、トピックセンテンスが2つ以上ある状態になってしまうケースがあります。一般的には、難解なテーマや専門的な内容を一般向けに説明するといった場合に発生しがちな状態です。

この事例では、サーバー移転という専門性の高い内容を丁寧に説明しようとしたために、1つのパラグラフ内に「ウェブサーバーの説明」と「サーバー移転の説明」が混在し、トピックセンテンスに相当する部分が2つ存在している状態でした。また、情報量や専門用語が多く、一般向けの記事としては内容が難しすぎる点も修正が必要でした。

トピックセンテンスが2つある文章の例
トピックセンテンスが2つある文章の例。パラグラフで伝えたい内容が「ウェブサーバーとは」と「サーバー移転とは」の2つある状態で、論理展開が難解になっています

校正では、伝えたい内容を「サーバー移転の概要」に絞り、トピックセンテンスが1つになるように修正しました。また、トピックセンテンスでのサーバー移転の説明をより具体的に補足するとともに、想定する読者層に合わせて情報量の調整や言い回しの修正を行いました。

校正後

ウェブサーバーの移転とは?(見出し)
ウェブサーバーの移転とは、ウェブサーバー内のデータを他のサーバーに移転することで、多くの場合、ウェブサイトのリニューアルなどに伴い、レンタルサーバー会社を変更する際に発生する契約の切り替えやデータの移行などを指します。

ウェブサーバーの移転には、実際の移転作業だけでなく、現在の契約状況の確認、スケジュールの作成、移転先レンタルサーバーの選定といった作業が必要になり、サーバーの移転後にもリダイレクト設定やサイトマップの送信といった作業が発生します。

ウェブサーバー移転にはさまざまな工程があり、専門知識が必要な場面も多いため、スムーズに進めるためには事前準備が特に重要となります

パラグラフライティングに沿って校正した例。トピックセンテンスを「サーバー移転とは」にして論理展開を整理し、表現や言い回しもわかりやすく修正しました

校正例2:欠落していたトピックセンテンスなどを補った上で必要な情報を整理した事例

パラグラフライティングの論理構成を意識していないと、トピックセンテンスが欠落してしまう場合があります。

この事例は「オフィスデザインのメリット」を伝えるパラグラフです。校正前は、具体例や伝えたい内容は多く列挙されていたのですが、それらの結論や伝えたい内容をまとめたトピックセンテンスがない状態でした。また、情報量が多すぎて本来伝えたい内容との関連が低い部分もあり修正が必要でした。

トピックセンテンスがない文章の例
トピックセンテンスがない文章の例。見出しにあるオフィスデザインのメリットをまとめるトピックセンテンスがないため、コンクルーディングセンテンスも欠落しています

校正後は、トピックセンテンスとコンクルーディングセンテンスを追加し、オフィスデザインのメリットが具体的につかめるように修正しました。また、可読性を上げるために、羅列的になっていた情報の整理や補足を行い、オフィスデザインのメリットを表現する内容に修正しました。

校正後

メリット1:経営者・企業のコンセプトをメッセージとして伝えられる(見出し)
企業がオフィスデザインに投資するメリットとして、会社のコンセプトや考え、メッセージなどを広く伝える効果が挙げられます。

コロナ禍によってリモートワークが進んだ結果、働き方や働く場の選択肢が大きく広がりました。自宅やサテライトオフィスなど、働く場の選択肢が多様になったことで、オフィスに出社することや実際に対面して働くことの意義を問われる時代へと変化しつつあります。

また、来訪者にとっても安全なオフィスであることや、協業する際のインフラとして心地よい場所であることも、これからのオフィスデザインで重要なポイントの1つになっています。

企業がオフィスデザインに配慮することで、実際に対面して働くことへの考え方やオフィスの安全性などを表現でき、企業としてのスタンスやメッセージを広く発信する効果が得られます。

パラグラフライティングに沿って校正した例。トピックセンテンスとコンクルーディングセンテンスを追加し伝えたい内容を明確にしたほか、サポーティングセンテンスもより伝わりやすい内容に整理しました

校正例3:コラム調に時系列順で書かれた文章にトピックセンテンスなどを補い、論理展開を整えた事例

ウェブサイトの記事コンテンツなどでは、パラグラフごとに見出し(h2)や小見出し(h3)が入っていない場合も多いですが、伝えたいことを整理して見出しを入れることで、長い文章も読みやすくなります。

この事例は、建築基準法という専門的なテーマを扱う記事ですが、コラム調で時系列順に書かれているため、見出し(h2)や小見出し(h3)がなかったほか、トピックセンテンスに該当する部分がないことから、一般的な読者にとって読みづらくなっていました。

コラム調で書かれており、見出しや小見出しがない文章の例
コラム調で書かれており、見出し(h2)や小見出し(h3)、トピックセンテンスなどがない文章の例。建築法規の解説という専門性の高い内容が連続しており、一般的な読者にとって読みにくくなっていた

校正後は、解説している建築法規の概要を明示する見出し(h2)とトピックセンテンスを追加し、可読性を上げるように修正しました。また、原文の内容や論理展開を尊重しつつ、「法改正の注意点」を解説する部分に小見出し(h3)を入れて、情報の関連性や優先順位を明確にしました。

校正後

用途変更で確認申請が必要となる面積とは(見出し)
用途変更で確認申請が必要となるのは、特殊建築物の用途となる部分が面積200m2を超える場合です。建築基準法では建物の用途は防火上や周囲の環境への影響の度合いを考慮して様々な分類があり、ホテルや共同住宅など不特定多数の利用が見込まれる用途は別表第一で定められた特殊建築物に該当します。別表第一(い)欄の特殊建築物への用途変更で面積が200m2を超える場合、確認申請が必要となります。

用途変更で確認申請が必要な規模が100m2超から200m2超となったのは、2019年(令和元年)の建築基準法の改正からです。例外としてホテル⇔旅館、診療所(入院施設があるもの)⇔児童福祉施設等といった類似の用途間での用途変更では確認申請が不要となる場合があります。用途変更での確認申請について、詳しくは「用途変更の確認申請-確認申請とは?(4)」の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。

|用途変更の面積拡大についての注意点。既存遡及への対応(小見出し)
この法改正によって、小規模な建物であれば物販店舗や保育施設といった特殊建築物への用途変更が確認申請不要で行えるようになります。(以下省略)

パラグラフライティングに沿って校正した例。見出し(h2)やトピックセンテンスを追加したほか、内容の切れ目に小見出し(h3)をいれて論理展開をわかりやすくしました

校正例4:多すぎていた情報の優先順位を整理し、補足情報を小見出しに移行した事例

記事の最初のパラグラフでは、読者にわかりやすく情報を提供しようとするあまり、関連情報が多くなりすぎてしまうことがあります。そういった場合、小見出し(h3)を設けて情報の優先順位を整理することで、わかりやすくまとめることができます。

この事例は、記事の始めで建設工事の見積書の概要を説明するためのパラグラフでしたが、記事の続きで解説するような専門的な内容を多く盛り込んでしまい、情報が多すぎて読みにくい状態でした。また、情報として詳細すぎる部分と抽象的な部分が混在しており、情報の優先順位やレベル感を揃えるといった修正も必要でした。

情報量が多すぎて主題がわかりにくくなっている文章の例
情報量が多すぎて主題がわかりにくくなっている文章の例。関連情報や背景など、伝えたい内容が多く可読性を損なっている場合、情報の優先順位の整理が必要になります

校正後は、このパラグラフの伝えたい工事見積書の概要と、記事後半で伝えたい内容を整理した上で、「工事見積書の依頼方法や作成の流れ」という小見出し(h3)を設け内容の一部を移動することで、情報の優先順位がわかりやすくなるように修正しました。また、具体的すぎたり詳しすぎる部分についても調整を行い、情報量や抽象度などを揃えました。

校正後

工事見積書とは?(見出し)
工事見積書とは見積書の一種で、建設工事を実施する際にかかる金額などが記載されている書類です。工事見積書には、建設工事にかかる総額のほか、建物が完成するまでに実施する各種工事について内訳や工事金額が記載されています。

建物の建設費は、さまざまな工事の金額が積み上がって構成されています。工事見積書は、個別の工事の内訳から全体の工事費の根拠を確認できるようにまとめられています。

工事見積書の依頼方法や作成の流れとは?(小見出し)
工事見積書は、建設する建物の設計図や建設現場の情報を元に作成されます。具体的には、工事を依頼する発注者が施工者である建設会社に対し、建物の図面や見積条件等を提示するという流れになります。(以下省略)

パラグラフライティングに沿って校正した例。情報の優先順位やレベル感を整理し、補足情報は小見出し(h3)に移動することで論理展開をわかりやすくなるように修正しました

パラグラフライティングを活用して記事コンテンツを作成した事例

パラグラフライティングは、客観的な情報の提供が重要となる企業サイトのマーケティングにも有用で、集客を目的としたお役立ち情報などの記事やサービスの紹介ページといったコンテンツの制作に活用できます。

フリーランチではマーケティング支援の一環として、コンテンツ制作もサポートしています。こちらでは、実際のコンテンツ作成事例について概要や成果物を交えて具体的な支援内容を紹介します。

事例1:インハウスの技術者と連携し、専門的な知見をコンテンツに落とし込み、集客につなげた事例[株式会社アクア様]

建築系のコンサル(コンストラクションマネジメント)大手のアクア様のコーポレートサイト内のコンテンツ作成事例です。サービス紹介ページや検索流入(SEO)の獲得を目的とした記事コンテンツ(お役立ち情報)など、サイト全般をサポートしています。

アクア様はホームページからの集客が課題となっていましたが、お役立ち情報など独自の記事コンテンツが無い状態でした。また、建設プロジェクトのコンサルとして高い技術力を持っていましたが、技術的な強みを理解した上で記事制作ができるライターが見つけにくい分野であり、社内メンバーによるコンテンツ制作も難しいことから、コンテンツ制作が停滞していました。

フリーランチは、アクア様へのヒアリングを元に、協力・協働しながらコンテンツを制作することで、アクア様の技術的な強みや高い専門性を、見込み客に向けた記事やサービスページに落とし込みました。

具体的には、SEO効果への考慮や競合などのリサーチ、アクア様の技術担当者の方へのヒアリングを踏まえて、記事のベースとなるアウトラインを作成・共有し、アクア様からより詳細な知見やアピールにつながるポイントを引き出しました。専門的な知見やノウハウをコンテンツとして再構築することで、専門性の高さとわかりやすさが両立したお役立ち記事やサービスページを実現しました。

制作した記事などは独自性が高いことから競合よりも上位に表示され、サイトからの受注獲得が実現しました。

改善による効果・ポイント

  • 複数の施策を組み合わせて受注がない状態のサイトを改善し、年間1億円超の受注獲得を実現
  • FLにてコンテンツの企画、競合サイトのリサーチを行い、成果が出やすい記事やサービスページを作成
  • クライアントの技術者の知見をヒアリングし、独自性の高いお役立ちコンテンツを定期的に更新
  • サービスページや資料ダウンロードなど、問合せ獲得するための施策やコンテンツについても総合的に制作をサポート
  • BtoBのニッチな領域にも係わらず、記事コンテンツ10本で2万セッション(サイト訪問者数)を達成・維持
アクア様のコーポレートサイトトップページ
アクア様のコーポレートサイトのお役立ち情報
アクア様のサイトコンテンツの校正用ファイル

サービスページや記事コンテンツの制作を企画から行い、資料ダウンロードなどの施策と組み合わせることで、サイトからの問合せの数と質を大幅に改善しました

事例2:アクセス減少傾向のサイトを再生し、問合せの数・質の改善につなげた事例[株式会社建築再構企画様]

建物の用途の変更や適法改修によって、建築物の再生を行うコンサル・設計事務所の建築再構企画様のサイト改善事例です。アクセスが減少していたサイトのリニューアルと記事コンテンツのリライトを行い、アクセス数を改善するとともに問合せの数と質の向上を実現しました。

建築再構企画様のコーポレートサイトは、業界では早い段階からSEO目的の記事コンテンツを独力で作成していました。しかし、作成した記事の改訂やコンテンツの追加を行っていなかったため、Googleの検索順位に関するアルゴリズムの度重なる変更に伴ってアクセス数が半減していました。また、デザイン面や技術的な観点からサイトリニューアルの必要性もありました。

フリーランチは、ウェブサイトの状況を把握した上でアクセスの減少要因を特定し、記事のリライトを通じてアクセス数の回復に貢献するとともに、サイトデザインやメールフォームの改善により、問合せの数と質を劇的に改善しました。また、WordPressの有料テーマを活用した低価格でのサイトリニューアルを立案し、モバイル対応ができないといった技術的な課題を解決しました。

改善による効果・ポイント

  • Googleのアルゴリズム変更の影響からアクセス数が減少していたサイトを再生しアクセス数や問合せの数・質を改善
  • ウェブレポートを作成しアクセス数減少の要因を特定するとともに記事コンテンツのリライトを実施
  • 創業時に依頼していた制作会社が不在なため大幅な改修が難しかった状態から、WordPressを活用した低価格でのサイトリニューアルを立案
  • アクセス数が多く改修の難易度が高かったが、フリーランチにてサイト制作を担当しアクセス数を減少させずにサイトリニューアルを完遂
  • サイトデザインの刷新やメールフォームの改善により問合せの質が劇的に改善し、大手企業からの相談も増加
建築再構企画様のコーポレートサイトトップページ
建築再構企画様のコーポレートサイトのお役立ち情報
建築再構企画様の事例ページリニューアル前後の比較

記事コンテンツのリライトとともに、コーポレートサイトリニューアルを行い、アクセス数や問合せを大きく改善しました

事例3:新規事業立案から支援し、集客用のコンテンツを整備して受注につなげた事例[ANALOG株式会社様]

空港、店舗、オフィスデザインなどに実績を有する建築設計・デザイン事務所のANALOG様の新規事業立案やサービスページ・集客用コンテンツの整備事例です。強みである3D設計ツール「BIM」を活用した事業化の支援や、検索流入から問合せに誘導するコンテンツ制作により受注改善につなげました。

アナログ様は、3Dで建築設計を行うツール「BIM」を早期に導入しており、潜在顧客を獲得できるほどの高い技術力がありました。しかし、サイトへの検索流入が少ないことから対面営業が主体となっており、十分な新規開拓や潜在ニーズの獲得ができていない状況でした。

フリーランチは、クライアントである経営者へのヒアリングから建築系企業向けのニーズがあると判断し、補助金を活用したBIM導入支援スキームを立案するとともに、建築系企業と店舗などの事業者それぞれに向けた2種類のサービス紹介ページを作成しました。また、検索流入が見込める記事コンテンツを作成し、サービスページに誘導することで問合せ・受注の改善を実現しました。

改善による効果・ポイント

  • 新規事業の立案からサポートし、新サービスの集客・マーケティングを総合的に支援
  • クライアントが持つ3D設計ツール(BIM)への高い知見を活かし、建築・デザイン事務所向けの導入支援を事業化
  • 小規模な設計事務所など、見込み客層が大幅に拡大する補助金活用のスキームを立案
  • 「BIMとは」などの主要キーワードの上位表示を狙った記事コンテンツを企画し、単一記事で月間1000セッション以上のアクセスを獲得
  • 店舗などの事業者向けサービスページとは別に建築企業向けのBIM導入支援サービスページを作成し、業界大手からもサービスに関する問合せを獲得
  • 建築業界への深い理解度を活かし、フリーランチ主体でコンテンツの企画・構成・ライティング・WordPressへの実装までワンストップで支援
ANALOG様のコーポレートサイトトップページ
ANALOG様のコーポレートサイトのサービスページ
ANALOG様のサイトコンテンツの原稿と実装イメージ

新しい事業スキームを立案するとともに、サービスページやお役立ちコンテンツを整備することで、検索流入の増加と問合せの向上につなげました

まとめ:パラグラフライティングを活用してビジネスやSEOで成果を上げるポイント

パラグラフライティングは、ビジネス文書やメールの作成効率向上やSEOへの効果など幅広いメリットがあります。パラグラフライティングを活用して、ビジネスやSEOで効果を上げるポイントは以下の通りです。

  • パラグラフライティングは論理構成が明快なわかりやすい文章が効率的に作成できる
  • パラグラフライティングはSEOにも効果的なため、コンテンツ制作にも活用できる
  • 各センテンスの役割を理解することで、論理構成が簡単に組み立てられる
  • 本文を書く前にアウトラインをまとめることで、論理のズレや執筆の手戻りを防げる
  • 論理の型やルールが決まっているのでコンテンツ制作の分業や校正も効率的に行える

フリーランチでは、設計事務所やBtoB企業のウェブサイト改善・集客サポートを行っています。コーポレートサイト改善、集客・マーケティングの支援などをご検討中の方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。スポットでの相談も可能です。

執筆者のプロフィール


大原 明恵(おおはら・あきえ)| 株式会社フリーランチのコンテンツマネジャー。大学で建築を学び、卒業後は工務店に勤務。2016年より、複業としてフリーランチに参画。大手のPM/CM会社や設計事務所の記事コンテンツの企画・執筆を担当。フリーランチが制作するコンテンツの多くの校正も行っている。